報酬について考える アンダーマイニング効果
こんばんは。
昨日の記事では「報酬の罠」についてお話しました。
自分自身、もしくは他者へのご褒美は有効に働くことがあります。
でも、逆効果に働くこともある。これは心理学の実験で説明されています。ご存じの方も多いかもしれません。
あなたは「アンダーマイニング効果」という言葉を聞いたことはありますか?
英語のUndermining effectのunderminingをそのまま用いた訳語が用いられています。undermineとは「徐々に」弱めたり、壊したリする、という意味。「ひそかに」傷つける、「いつのまにか」害する、といった意味もあります。mineという「採掘する」「坑道を掘る」といった単語にunderがついているので、意味合いは何となく分かりますかね。
ウィキペディアではこのように書かれています。
「アンダーマイニング効果、またはアンダーマイニング現象は、内発的に動機づけられた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、モチベーション(やる気)が低減する現象である。例えば、好きでプレイしていたゲームに金銭的な報酬を与えられると、やる気がなくなってしまうなど。抑制効果ともいう。」
抑制効果という日本語のほうが分かりやすいですね。
内発的動機とか外発的動機という心理学用語を使われると少し難しく感じるかもしれません。
内発的に動機づけられた行為とは、自らの好奇心や探求心、やる気からくる行動。外発的動機付けとは、金銭や品物などの物質的報酬を指します。
子どもが喜んでお手伝いをしてくれる(=内発的動機に基づく行為)のに、手伝ってくれたらお小遣いをあげる(=外発的動機付け)ことによって、お手伝いをするモチベーションがなくなってしまう、といったことですね。
アンダーマイニング効果を提唱した心理学者エドワード・L・デシのパズルの実験は有名です。
学生を2つのグループに分け当時人気だったパズルを解いてもらう、という実験。
・第1セッション
どちらのグループにも普通にパズルを解いてもらう
・第2セッション
Aグループには、「パズルを解くと1ドルの報酬を与える」と伝え、報酬を渡す
Bグループには、報酬の話しをせずに普通にパズルを解いてもらう
・第3セッション
どちらのグループにも普通にパズルを解いてもらう
どのセッションでも、パズルの課題の途中に休憩を設けました。
休憩の時間にパズルに触れる行為を「内発的に動機付けられた行為」と定義して、その時間を測定しました。
その結果はというと、…
明日に続けます。