「褒めて育てる」にも罠が…
こんばんは。
エンハンシング効果についてお話ししています。この言葉自体を知らなくても「褒めることが大切」ということはご存じですよね。社会全般で認められているといっても過言ではないかもしれません。
ですが、
「報酬」は何でも褒めればよいということではない。褒め方の違いでやる気がでるかどうかが変わってくる。
これを押さえていないと、エンハンシング効果は期待できません。
このことも実験で証明されています。
キャロル・S・ドゥエックという心理学者の名前を聞いたことはありますか?
ご存じの方は心理学の書籍や記事に敏感な方かもしれません。
キャロル・S・ドゥエックはスタンフォード大学の心理学者であり『mindset』というベストセラーの著者としても有名な方です。
私はこの書籍を原書(英書)で読みましたが、本当に有意義な内容で時間を忘れて読み続けたのを覚えています。
この書籍が最初に出版されたのは2006年となっていますから、すでに15年前になるのですね。久しぶりに再読したくなりました。
キャロル・S・ドゥエックさんは、小学5年生400人近くを対象にして、褒め方の違いが子どもの向上心にどのような影響を与えるのかを実験しました。
子どもたちに図形パズル問題を解いてもらい、テスト終了後に子どもたちを2グループに分けて、点数について違う褒め方をしました。
Aグループの子供たちには、才能や頭の良さを褒める。Bグループの子供たちには努力や行動を褒める。
この後に、子どもたちに2種類のパズルから好きな方を選ばせます。「最初の問題と同じレベルの簡単なパズル」」と「最初の問題より少し難しいけど勉強になるパズル」の2種類です。
この結果が興味深いのです。
頭の良さを褒められたAグループの子どもたちのほとんどが簡単なパズルを選んだの対し、努力を褒められたBグループの子どもたちの多くは「難しいパズル」を選んだのです。
努力を褒められた子どもはさらに努力を褒められようと、難しい問題にチャレンジする。それに対し、頭の良さを褒められた子どもは、さらに頭の良さを褒められたいがために、難しい問題で間違えることを恐れるようになる、というのが氏の考察です。
「お前は頭がいいな~」「天才だな」「才能あるな」といった褒め言葉を使っていませんか?
これらの言葉は子どものチャレンジ精神を奪っているかもしれないのです。
実験はこれでは終わりません。
明日に続けます。