「つまらない人」にはなりたくない?
こんばんは。
Patricia Ryan Madsonさんの『improv wisdom Don’t Prepare, Just Show Up』。
昨日の記事でこのシリーズを終えるつもりでいたのですが、もう1つだけ関連する内容をお送りします。
それはジョークに関すること。
ウィットに富んだジョークを当意即妙に繰り出せる男になりたい。この憧れが、この書籍を手にした理由の一つでした。Improvをマスターできれば、そんな人になれる。そんな期待がありました。
この本の中で直接的にジョークについて記載している部分はほとんどないのですが、5章の「be average」の中にある一節がありました。
こちらの文章です。
If you give up making jokes and concentrate on making sense, the result is often genuinely mirthful. Besides, making sense is a lot more satisfying in the long run. Give the obvious try.
この文章は刺さりました。「ジョークを巧みに操りたい」という期待を叶えてくれるどころか、「ジョークをあきらめなさい」と言われたのですから。
これはその前の文章からつながる、一種の戒めから至る結論です。それらの文章も見てみましょう。そのほうが分かりやすいですからね。
We had asked the audience to fill in the blanks: “In a ___, with a ___”.
In several decades of watching improve show, I’ve never once heard anyone shout: “In a bathtub with a rubber duck” or “In an office with a typewriter.” No one wants to be thought unimaginative.
これは、“In a ___, with a ___”の空欄に単語を入れるゲーム。どんな単語を入れてどんな文章をつくるか、どんなシーンを描き出すかが問われるゲームです。
Patriciaさんのこれまでの経験の中で、「バスタブの中のラバーダック(あひるのおもちゃ)」や「タイプライターのある事務所」といった表現、つまりあたりまえのことを描いた文章、が出てきたことはない、と言っています。誰も「想像力がない人」とは思われたくないですからね。分かります。こんなつまらないことを言う人の気が知れません(言い過ぎですかね…)
The audience believes that ideas that seem ordinary or that “make sense” reflect a lack of creativity.
ありきたりであると思えることや、分かりやすいもの、当然と思えるようなアイデアを出すのは、創造力の欠如の表れである。私たちはそう信じている。
これはその通りですよね~。もしあなたがお笑いの世界にいたら、これは死活問題です。「この人は面白くない」と思われてこの世界では生きていけなくなるでしょう。お笑いの世界、つまり笑いに特化した空間ではない、私たちの日常でも同じですよね、程度は違いますが。当たり前を振りかざす人、正論しか言わない人は、「面白みのない人」「つまらない人」、もしくは「真面目な人」というレッテルを貼られてしまいます。「面白い」と「クリエイティブ」は密接な関係があります。私たちは「面白い人」は「クリエイティブである」と感じます。「クリエイティブ」という言葉が思い浮かんでいないとしても、「この人はすごい」とある種尊敬の念を抱いたりしますよね。
そんな存在とは180度逆に位置する「つまらない人」にはなりたくない、と思うのは当然のように感じられます。
明日に続けます。