「褒めて育てる」 エンハンシング効果について知る
こんばんは。
アンダーマイニング効果についてお話ししてきましたが、その流れでもう1つ知っておきたい「効果」についてお伝えしたいと思います。
それは「エンハンシング効果」というもの。
英語でいうとEnhancing effect。Enhanceは「高める」「強化する」といった意味があります。
心理学的にいえば、「外発的動機付けによって内発的動機付けを高める心理現象」ということになります。日本語では「賞賛効果」とも呼ばれます。こちらのほうが分かりやすいですね。
ここでいう、外発的動機付けは、日本語の訳が示すとおり、金銭といった物質的な報酬ではなく、言語的な報酬を指します。
信頼している人からの期待や賞賛が内発的動機付けを高めることにつながる、ということです。
よく「人を褒めて育てる」ことの効用については聞きますよね。
この効果も実験で証明されています。1925年にエリザベス・B・ハーロックという心理学者が行った実験が有名です。
小学生を3つのグループに分けて算数のテストを数日間続けて実施。前日の答案を返す時の先生の態度を
Aグループ:どんな点数でも、できていた部分を褒める
Bグループ:どんな点数でも、できていない部分を叱る
Cグループ:どんな点数でも、何も言わない
に変えて、その後の成績がどうなるかを見た実験です。
それにしても、心理学者は本当にいろいろな実験をしていますね。 叱られた小学生が気の毒のような気もします(笑)。
結果は、
Aグループの生徒は日を追うごとに成績が向上。
Bグループは2日目には成績が上がったものの祖語は低下。
Cグループはほとんど変化が見られない。
この結果から、賞賛や激励は学習促進効果がある、と結論付けました。叱責の場合は一時的な効果だけで、その後はその効果が続かない、ということも。
「褒めて育てる」が奨励されるのは、このようなポジティブな実験結果によるのです。
この「褒めて育てる」は広く認知されていますので、あなたもご家庭でお子さんに対して実践されているかもしれません。組織において、部下を褒めることを心がけているかもしれません。
社会的な背景からも、「叱って育てる」は分が悪くなっていますよね。少し𠮟ったくらいでハラスメントだと言われる時代ですから、うかつに叱ることもできません。特に学校の先生は指導の難しさを感じていらっしゃると推察します…。
「褒めて育てる」ことは効果があることは確かなのですが、ただ褒めればよいということではないのです。このポイントを押さえていないと効果がないどころか、ネガティブな結果を引き起こすかもしれません。
明日に続けます。