「行動と見識」KOUSHIのブログ

行動と見識で人生を豊かにする

世界のビールを楽しむ キリンビール ⑤

おはようございます。

 

今日も「一番搾り」の話を続けます。

 

一番搾りは、一番麦汁と二番麦汁を使う従来の製法と比べると、製造コストはアップするようです。実際に、キリンビールの内部では、「このコストアップを販売価格に転嫁するのは当然。実際に品質が高いのだから、プレミアム商品として売り出すべきだ。」という声も上がったようです。

ですが、「プレミアム商品にすると、キリンの第二の旗艦ビールにはならない。」との反論もあり、最終的には「消費者に価格以上の価値を提供する」ことを是とし、通常ビールの価格で販売することを決定しました。

 

この判断が功を奏したのか、「キリン一番搾り」は大きな話題を呼びます。消費者としては、普通のビールより手間をかけたプレミアムなビールを、普通のビールと同じ価格で購入できる、というお得感を感じることができたのでしょう。(私であれば、そう思います。当時はビールを飲める歳ではありませんでしたが…)

 

そして、その発売同年に、「キリン一番搾り」は1987年に「アサヒスーパードライ」が記録した初年度の年間出荷のレコードを抜き、「スーパードライ」のシェア拡大にブレーキをかけることに成功します。

 

一番搾り』というネーミングで、『特別で贅沢なビールである』という印象を醸し出したことだけでなく、その味わいにも、「キリン一番搾り」が大ヒットに繋がった要因があるとの見方もあります。

従来の「キリンビール」は、渋みと苦みが特徴的なビールであり、それこそが日本の消費者に求められていたものでした。世のおじさんが好きなビールは、渋くて苦いビールだったのです。

 

キリンは、テストマーケティングの中で、ビール消費量が最も多い30~40代の嗜好を重視しました。その結果、渋みを抑えスッキリ感を訴求したビールとして「一番搾り」を世に送り出され、消費者に受け入れられました。

 

このテストマーケテイングというのは本当に重要なのでしょう。「アサヒスーパードライ」も消費者の嗜好調査を基に生み出されました。

 

キリン一番搾り」は、私が好きな銘柄の一つです。「アサヒスーパードライ」の存在がなければ、この「キリン一番搾り」は誕生しなかったかもしれません。アサヒとキリンの努力に感謝します(笑)。