世界のビールを楽しむ キリンビール⑨
おはようございます。
今日から、また新しい一週間が始まりますね。
会社勤めの方にとっては、気が重い月曜日かもしれません。仕事を頑張った後のビールの美味さを糧に、今日も一日頑張りましょう!
ということで、今日もビールの話を続けます。
「キリンラガービールの生ビール化」という決定が誤りであったことは、キリン自ら認めていたといえるでしょう。それは、キリンが「キリンクラシックラガー」という製品を2001年に発売しているからです。
長年慣れ親しんだ「キリンビール」の味を惜しむファンの為に、生ビールではない、昔ながらの「キリンビール」として販売したのが、「キリンクラシックラガー」です。
今さら感はありますが、ここで、生ビールの定義をお伝えしておきましょう。
生ビールとは、ビール製造工程の中の発酵工程後に【熱処理を行っていないもの】です。
昔は、ビールの品質の劣化を抑えるべく、発酵に用いた酵母を殺すために、発酵工程の後に、熱処理が行われてきました。これが、ビール製造の通常の工程の一つであったのです。
その後、濾過技術の向上で、熱処理を行わなくても酵母を取り除くことができるようになります。
これは、熱処理を行わなくても品質劣化を抑えることができることと同義で、この技術が生ビールを日本のビールのスタンダードに押し上げたのです。
「キリンラガービール」は、熱処理を行っていない時代のトップブランドでした。このトップブランドを「生ビール」化したことが、キリンにとっては致命的な判断だったのです。
「たられば」の話になってしまいますが、「アサヒスーパードライ」が台頭してきた時に、キリンは業界の雄として泰然と構えるべきでした。
当時はアサヒはチャレンジャーの立場にあり、業界におけるキリンの優勢は保たれていたのです。ですが、業界のリーダーとしてアサヒに相対するのではなく、「スーパードライ」という生ビールのセグメントに、キリンがチャレンジャーとして立ち向かってしまったのです。これが大きな敗因の一つでしょう。
至宝である「キリンラガー」の地位を貶めるとともに、「キリン一番搾り」の立ち位置を不明確にしてしまう、という致命的な結果を招いてしまいました。
とはいえ、この判断は致し方なかったのでしょう。そういう時代だったのだと思います。