おやじの口上に魅了される
こんばんは。
私が競馬をお勧めする最大の理由は「予想屋のおやじのトークを学べること」。
競馬以外の公営競技場に出向いたことがないのですが、予想屋さんは地方競馬に限らず、競輪や競艇、オートレースといった公営競技に存在すると思います。
でも、もし予想屋さんを経験したいと思われたなら、ぜひ大井競馬場に出向いていただきたいと思います。そこには凄い人がいるからです。
私がひいきにしていた予想屋のおやじは、私の師匠の師匠。ブースの前以外では、直接の教えは受けたことはありません。でも私にとっては大師匠でした、いろいろな意味で。
昨日は、おやじの「予想」スタイルについてお伝えしましたね。
予想屋にとって肝心なのがもちろん「予想を的中させること」「大きな回収率を達成すること」。おやじは大井競馬場の予想屋の中でもトップクラスにいたと思います。
ただ、彼が人気を集めていたのは、その予想だけが要因ではなかったと思うのです。
というのも、おやじより高い的中率をほこる予想屋がいるにもかかわらず、人だかりの多さはおやじに軍配があがっていたからです。
こんなにも多くの人を惹きつけるのは、彼の「トークの面白さ」にあった、というのが私が感じたところです。
彼の成績は数ある予想屋さんの中で一番ではなかった。ただ、面白さという意味では抜群であったと思います。
予想に入る前のトークが抜群に面白い。予想の説明よりも、関係のないトークというか漫談の時間の方が長い。実際に、おやじ理論による馬券予想の説明が始まったころには、投票締め切り間近のアナウンスが場内に響くことがしばしばでした。
そして、おやじは少し口が悪い。毒蝮三太夫さんや綾小路きみまろさん、もっと若い人でいうと有吉弘行さんに人気があることからも、「温かみのある口の悪さ」が受け入れられる理由が想像できるでしょう。
だが、皆それを楽しみにしています。私に限らず、他の多くの方もオヤジのトークを聞きにきていたのは間違いありません。
投票締め切り間際になって、おやじが予想を記した小さい紙をお客さんに渡し始めます。皆が100円をテーブルに置いて、もしくはオヤジ予想紙を示して、その小さな紙を手に入れる。そして、急いで券売機に散っていくというのがお決まりのパターン。
彼の予想が当たった後のトークはより面白い。悠々とブースに戻ってくるおやじは、一段と声が張り、冗談が冴えわたります。お客さんとの掛け合いの場面も増えたりして、いっそう場が盛り上がる。
逆に、自信の予想がはずれた時にブースに戻ってくるおやじの姿には、哀愁(?)を感じました。悔しそうな寂しそうな感じ。
そんな姿も含めて、おやじを愛するファンが多かったように記憶しています。
明日に続けます。