あなたにも経験はありませんか?
こんばんは。
Patricia Ryan Madsonさんの『improv wisdom Don’t Prepare, Just Show Up』、5つ目の格言である「be average」。
「平均であれ」
この考え方に違和感を覚える方も多いと思います。私もその一人でした。
「より良い結果を得る」ために、「他人より抜きんでる」ために、「懸命に努力する」。私たちは、このことは美徳であると、教えられてきた。この考え方は私たちの体に染みこんでいます。
でも、この考え方で生きるのはつらさを伴う。このことも多くの人が感じているでしょう。
常に上を目指さなくてはならない。完璧を求めて懸命に前に進み続ける、走り続ける。実際にそうすることで、私たちは成長できる。それも確かでしょう。
でも、常に結果が伴うとは限らないのです。むしろ、このマインドセットで生きることは、成長を鈍化させてしまうことにもなるんです。
Patriciaさんの文章を見ていきます。
When you try hard to do your best, the effect on your performance is often to jinx it.
「jinx」とは、私たちがよく使う言葉である「ジンクス」のこと。不運とか不吉といったいう意味ですね。ここでは動詞で「不運をもたらす」という意味になります。
「ベストを尽くす」ことを人々は称賛します。精一杯やる、ということにすがすがしさを感じる人も多いでしょう。でも、この考え方によって、かえって能力をうまく引き出せなくなってしまう、そういう危険性をはらんでいる。
In all cases there is something to lose. This can provoke tension and easily lead to anxiety.
どんなことにおいても、すべてにおいてうまくいくというとは限らない。何かしら損なってしまうもの、失敗してしまうことがある。それなのに完璧をめざそうとすると、過度な緊張を引き起こし、不安という感情を抱くようになってしまう。
あなたにも経験はありませんか?
試験であったり、スポーツにおいてであったり、プレゼンであったり、いろいろな場面があるでしょう。完璧なまでにうまくやろうとすることで、余計な力が入ってしまい失敗してしまう、不安がよぎって失敗してしまう。
無理をせずに及第点をとればよい。そんな場面でも完璧にやろうと思ってしまうことで、かえって失敗してしまう。ふだんなら簡単にできるはずのことすらできなくなってしまう。
自分の経験でなくとも、そういう場面を見たことがあると思います。スポーツはそういうシーンにみちあふれています。例えばサッカーのPKで、当代きってのストライカーが枠を大きく外れるキックをしてしまうとか。
著作の中では、NFLのチャンピオンシップでのシーンが紹介されています。本来ならキッカーにとって簡単なはずのフィールドキック。それを台無しにしたのが、ボールをセットするセンター。彼はボールを取り損なってしまったのです。彼はこう振り返っています。
“I tried to make a perfect snap when all I needed to do was make a good one.”
大事な場面には、より「be average」が重要になってくる。このことを物語るストーリーです。
明日に続けます。