「無い袖は振れない」 でも「言葉」はどんな時も与えられる
こんばんは。本日もお立ち寄りくださりありがとうございます。今晩は遅い時間の配信になってしまいました。
昨日の記事でお話しした「アンダーマイニング効果」。
アンダーマイニング効果は今から40年も前にエドワード・L・デシという心理学者によって提唱されました。
この証明に用いたのがパズルを後いた実験。昨日は、その実験のプロセスをお伝えしましたね。今日はその結果を。
休憩中にパズルに触れる時間が、
・Aグループは
報酬ありと伝える(第2セッション)と増加
報酬無しと伝える(第3セッション)と減少
・Bグループはどのセッションでも大きな変化がなかった。
このことから、もともとパズルを解くことが楽しかったとしても、金銭的な報酬が示されたことで、パズルを解くという目的が報酬を得るための手段にすぎないと感じるようになった、という現象を提唱したのです。
人には、自らの行動を自分で決めたいと望む「自己決定への欲求」と、できないことをできるようになりたいと望む「有能への欲求」があるといいます。この2つの欲求が満たされると内発的動機が生まれる。
この「自己決定感」や「有能感」が外的報酬によって損なわれるとアンダーマイニング効果が起きる、とエドワード・L・デシは言います。
報酬という外的な要素が「他者から統制されている」という感情を生み出し、それが「自己決定感」や「有能感」を低下させた、ということです。
私たちは、この「相手の自己決定感や有能感を低くする」行為を気づかずにやってしまう。
ご自身の子供の頃を思い出してみてください。
ちょうど宿題をしようと思っていた時に、母親から「早く宿題をやりなさい」と言われて、すっかりやる気がなくなったことがありませんか? 私はあります。
よく「人にはあまのじゃくな性質があり、他人から言われたことと逆のことをしたくなる」と言われますが、これは「自己決定感」の低下によって生じるのですね。人の「不思議」な性質ではないのですね(笑)。
お子さんを育てている立場である方は、この記事をよんで「ドキッ」としたかもしれません(笑)。
知らぬ間に、子どもの自己決定感や有能感を毀損して、やる気を削いでしまっている。十分な注意が必要ですね。このことを知っただけでも良かったかもしれません。これからのお子さんへの接し方が変わってきますからね。
金銭といった物質的な報酬はアンダーマイニング効果を引き起こしますが、賞賛や期待の言葉(言語的な報酬)は「自己決定感」や「有能感」を低くしないことが、多くの研究で示されています。
物質的な報酬は、やる気のない相手のモチベーションを引き出すには有効かもしれません。でもそれは最初の段階でとどめておく必要がある。さらに頑張ってもらいたいときには、物質的な報酬はNG。言語的な報酬を与えるべきなのです。
一昨日の記事で「ご褒美を与えられるような金銭的余裕のない、そんな家庭環境を喜びましょう」と書きました。
「無い袖は振れない」 この環境が内発的動機を高めることにつながるのですからね。