一番大事なのは書き直すこと
こんばんは。
カーライルのエピソードを今日も続けます。
その家政婦さんは、その紙がカーライルの原稿であるとは知る由もなく、ストーブを焚くための紙ごみとして、ストーブに投げ込みました。
カーライルが何十年もかけて書いた『フランス革命史』はたったの3、4分で灰になってしまったのです。
私はこのストーリーを読んでから、自分の置かれた状況を見つめ直しました。
週末の2日間をかけて書き溜めたブログ記事を失くしてしまった。そのために要した時間は10時間ほど。それに比してカーライルがその原稿を書き上げるまでに要した時間は何十年。史料の調査と歴史の詳細な研究にかけた時間、何度も何度も推敲を重ねた時間はまさに一生と呼べる時間軸。
私のデータ消失はなんとちっぽけな話なのだ! と感じたのです。
たったの10時間を失っただけ。ぜんぜん意気消沈するレベルの話ではない。こんなことで落ち込んでどうするんだ、と。
カーライルのおかげで、気を取り直したのですw
このエピソードはまだ終わりません。
借りた原稿が燃やされてしまったことを知った友人の友人は、動揺します。そして最初の友人に相談します。
あなたが友人から借りた「物」を失くしてしまった場合、同じものや同等のものを手に入れることができれば、それを返せば事なきを得られるかもしれない。もしくはお金で弁償することができる。
でも失くしてしまったものが「原稿」、カーライルの例でいえば「思想」だった場合には、あなたはどうやっても同じものを返すことはできない。お金で弁償することもできない。
友人はカーライルにこのことをなかなか伝えられません。ようやくそのことがカーライルに知らされたのは約1週間後でした。
カーライルはショックのあまり放心状態が10日間あまり続いたとか。そしてその後に猛烈に腹を立てた。
それまで一生をかけて書き上げた原稿が跡形もなく消えてしまったのですから、精神状態が不安定になるのも頷けます。
そして、ようやく冷静になったカーライルは自分にこう言い聞かせましたと言われています。
私が読んだ書籍からの抜粋となります。
「原稿が燃えたくらいで絶望する人間の書いたものは役に立たない」
「お前は愚かな人間だ。お前の書いた『フランス革命史』はそんなに立派な本ではない。一番大事なのはお前がこの不幸に堪えて、もう一度同じ本を書き直すことなのだ。それができれば、お前は本当に偉くなれる。原稿が燃えたくらいで絶望するような人間の書いた『フランス革命史』は出版しても世の中の役に立たない。だからもう一度書き直せ」
私が読んだ書籍は
『人生、何を成したかよりどう生きるか』(文響社 2021/2/18著=内村鑑三、解説=佐藤優)
このタイミングで出会ったこの本に感謝です。
明日に続けます。